イスタンブールのタクシム広場から徒歩10分ほど、Meşelik Street沿いに建つ「聖トリアダ・ギリシア正教会」(トルコ語では「Aya Triada Rum Ortodoks Kilisesi」)。1880年に建てられたイスタンブール最大規模のギリシア正教会だそうです。散策中に偶然通りかかったのですが、吸い寄せられるようにして中に入りました。
この教会は、1453年のコンスタンティノープル陥落後、イスタンブールに建設が許可された最初のドーム型のキリスト教会です。1839年の「ギュルハネの勅令」で始まった「タンジマート(恩恵改革)」でムスリム教以外の宗教にも平等の原則が認められるようになり、建設が許可されたのだとか。ドームにはイエスと彼の12人の使徒が描かれています。
1955年9月6日から7日にかけてイスタンブールでは暴徒によるギリシャ人への迫害(「イスタンブールのポグロム」)が起こりました。この暴動では市内の多数のギリシャ人の住宅、店舗そして教会が被害を受けたそうです。「聖トリアダ・ギリシア正教会」も損傷しましたが、修理・改修が行われました。
イスタンブールのポグロムとは
当時の外国新聞報道によると、ギリシア人の経営する4,000以上の商店が破壊され、略奪された。38の教会が焼け落ち、35以上の教会が破壊され、2つの修道院と主な墓地が破壊され、墓地の幾つかは消滅せられた。また、2,000以上のギリシア人の家屋が破壊され、略奪された。52のギリシア人学校から、備品、書籍等が奪われ、トルコ政府の発表では3人が殺され30人が負傷したとあるが、15名もの学生が殺された。被害額は、教会関係だけで1億5,000万ドルであった、と新聞は伝える。暴動は、前日の9月5日、ギリシア人がテッサロニカのトルコ領事館を攻撃したことに対する報復であった、と言われる。(中略)この暴動ののちに、正確な数は算定されていないが、 数千規模のギリシア人がイスタンブールを離れた。
教会に入って衝撃を受けたのは、ステンドグラスから差し込む光でした。こんな風に完璧な形でステンドグラスが光を通しているのを目撃したのは初めてで、とても感動しました。
ステンドグラスから差し込む光で虹色に色づいていた教会内部。ほんの数人しか訪問者はいなかったのですが、みんなそれぞれ静かに感銘を受けていたような気がします。
この教会は現在も約1,500人の信者の人たちの拠り所となっているようです。観光の要所であるタクシム広場から近いので、時間が許すようならぜひ訪れてみてください。